目次
南米で使われている言語・公用語
南米には多様な言語が存在します。主要な言語をいくつか挙げると以下のようになります。
スペイン語
南米大陸の大部分で公用語として話されています。アルゼンチン、チリ、コロンビア、エクアドル、パラグアイ、ペルー、ウルグアイ、ベネズエラなどで話されています。
ポルトガル語
南米大陸の一部で話されており、ブラジルが最もポルトガル語を話す国です。
ケチュア語
アンデス山脈地帯で話されている先住民の言語で、ボリビア、ペルー、エクアドル、コロンビア、チリなどで話されています。
アイマラ語
ケチュア語と同様にアンデス山脈地帯で話されている先住民の言語で、ボリビア、ペルー、チリで話されています。
グアラニー語
パラグアイの公用語の一つであり、南米大陸の先住民族グアラニー族の言語です。
その他にも南米には多様な言語が存在します。これらの言語は文化的、歴史的な背景によって形成されたものであり、南米の多様な文化や歴史を反映しています。
続けて以下では、これらの言語が使われるようになった理由と歴史について、さらに深く解説していきます。
南米でスペイン語が使われる理由
スペイン語が南米で広く使われるようになったのは、スペインが15世紀から17世紀にかけて南米大陸を植民地化したことに由来します。
1492年にクリストファー・コロンブスが新大陸を「発見」した後、スペイン王国は南米大陸に多数の植民地を建設しました。
当初は、スペイン人の移住者が現地の先住民族と交流するために必要な言語としてスペイン語が導入されました。
その後、スペイン人が南米に入植し、スペイン語が現地の言語と混ざり合い文化的な融合が起こりました。
スペイン語が広まった理由の一つは、スペインの植民地政策によるものです。
スペインは南米での統治を維持するために、教育、行政、司法などの分野でスペイン語を導入しました。
また、スペイン語を話せる人材を現地で育成するために、スペイン人宣教師が南米に派遣されました。
こうした政策の結果、スペイン語は現地の言語としての地位を確立し、現在に至るまで南米の公用語として使用されています。
しかしながら、南米には多くの先住民族が存在しそれぞれ独自の言語を持っています。
スペイン語は南米での文化的、政治的な支配の象徴として批判されることもあります。
近年では、先住民族の言語の保護や再導入が求められており、スペイン語以外の言語の使用が増加している傾向にあります。
南米でポルトガル語が使われる理由
南米でポルトガル語が使われる理由は、ポルトガルが15世紀から16世紀にかけて南米大陸の一部を植民地化したことに由来します。
1494年にスペインとポルトガルの間で締結されたトルデシリャス条約により、世界を西から東に分割することが合意されました。
スペインはこの条約に基づいて南米大陸の大部分を領有し、ポルトガルはブラジルを植民地化することができました。
ブラジルは、ポルトガル語が広く使われる南米大陸唯一の国となりました。
ポルトガル語がブラジルで広く使われるようになったのは、ポルトガル人の入植によるものです。
ポルトガル人が到着する前には先住民族が独自の言語を話していましたが、ポルトガル人は自らの言語や文化を広め、ブラジルをポルトガルの植民地として統治しました。
ポルトガル語がブラジルで公用語として使用され続けた理由には、植民地時代に始まる歴史的な背景があります。
ポルトガル人はブラジルに教育機関を設立し、ポルトガル語を教育の中心として広めました。
また、ブラジルがポルトガルから独立した後もポルトガル語は文化的なつながりを維持し、ブラジルで広く使用され続けました。
現在、ポルトガル語はブラジルだけでなくアンゴラ、モザンビーク、カーボベルデ、ギニアビサウ、サントメ・プリンシペ、東ティモールなどの国々でも公用語として使用されています。
ケチュア語とは
ケチュア語(Quechua)は、南アメリカアンデス地方において、特にペルー、ボリビア、エクアドル、チリ、コロンビアなどで話されている先住民族の一つであるケチュア族が用いる言語です。
ケチュア語は、スペイン人がアンデス地方を征服する前から存在しており、アンデス文明の中心地であったクスコを中心に広く使用されていました。
スペイン人がアンデス地方を征服した後もケチュア語は広く使用され続け、現在でも多くの人々が話しています。
ケチュア語はスペイン語と同様に南アメリカの公用語の一つであり、ペルー、ボリビア、エクアドルなどではスペイン語と共に公用語として認められています。
また、ケチュア語は、近年では先住民族の文化や歴史の再評価が進んでいることから再び注目を集めており、学校での教育や公的文書での使用なども増えています。
アイマラ語とは
アイマラ語(Aymara)は、南アメリカアンデス地方において、特にペルー、ボリビア、チリ、アルゼンチン、ペルー南部などで話されている先住民族の一つであるアイマラ族が用いる言語です。
アイマラ語は、ケチュア語と並んでアンデス地方の先住民族の言語として広く使用されています。
また、アイマラ族はインカ帝国崩壊後にも独自の文化や社会システムを発展させ、アイマラ語はその文化や歴史の一部として広く使用され続けてきました。
現在、アイマラ語はペルー、ボリビア、チリ、アルゼンチン、ペルー南部などで話されており、先住民族の文化や歴史に対する再評価が進む中、再び注目を集めています。
アイマラ語は多くの場合スペイン語と併用されており、特に農村地帯ではアイマラ語が主要な言語として使用されていることもあります。
グアラニー語とは
グアラニー語(Guarani)は、南アメリカにおいて、特にパラグアイとブラジル南部で話されている言語です。
グアラニー語はパラグアイの公用語の一つであり、ブラジル南部の一部地域でも公式に使用されています。
グアラニー語は、グアラニー族という先住民族が使用していた言語で、コロンブス以前から存在していた言語の一つです。
グアラニー族は現在のパラグアイの地域に住んでいた先住民族の一つであり、彼らが使用していた言語がグアラニー語でした。
スペイン人がアメリカ大陸に到来した後もグアラニー語は広く使用され続け、現在でも多くの人々が話しています。
特にパラグアイでは多くの人々が日常的に使用しており、スペイン語と共に公用語として認められています。
また、グアラニー語は先住民族の文化や歴史の再評価が進んでいることから再び注目を集めており、学校での教育や公的文書での使用なども増えています。
南米で最も多く使われている言語
南米で最も使われている言語はスペイン語です。
スペイン語は、コロンブスがアメリカ大陸に到着した15世紀以来、南アメリカで広く使用されてきました。
現在、南米の大部分の国々で公用語として認められており、スペイン語を話す人口は約4億人以上にのぼります。
ただし、南米には多くの先住民族が存在しそれぞれの言語を話す人々もいます。例えば、ケチュア語やアイマラ語、グアラニー語などが広く使用されています。
これらの言語は、一部の地域ではスペイン語と並んで公用語として認められていることもあります。
また、ブラジルではポルトガル語が公用語として使用されています。
南米で英語は通じるのか
南米では英語が話される場合もありますが、一般的にはスペイン語やポルトガル語が主要な言語として使用されているため、英語が通じない場合があります。
南米の中でも英語が通じる国としては、主に以下の3つの国が挙げられます。
英語が通じる国①:ガイアナ
ガイアナは、英語を公用語としている国の一つです。
また、教育やビジネスの分野で英語が使用されることが多く、英語を話す人々も多くいます。
英語が通じる国②:ジャマイカ
ジャマイカは英語を公用語としています。
また、多くの人々が英語を話し、英語を学ぶための学校やコースがあります。
英語が通じる国③:トリニダード・トバゴ
トリニダード・トバゴは英語を公用語としている国の一つで、多くの人々が英語を話します。また、英語を教える学校やコースがあります。
その他、観光地や大都市などでは英語を話す人々も多く、英語でのコミュニケーションが可能な場合もあります。
ただし、英語が通じない地域や人々もいるため、現地の言語を学んでおくことはよりスムーズな旅行やコミュニケーションのために役立ちます。
南米先住民の言語を保護するために大切なこと
南米には多くの先住民族が存在し、それぞれ独自の言語を持っています。
これらの言語は、文化的・歴史的・言語学的な価値があり、地域の多様性と文化の豊かさを表しています。
しかし多くの場合、先住民族の言語は言語移行や文化の喪失に直面しています。
言語移行とは、先住民族の人々が自らの言語を話さずより一般的な言語に移行することを指します。これは社会的・経済的圧力や文化的侵略などによって引き起こされることがあります。
先住民族の言語を保護するためには多くの取り組みが必要です。
例えば、地元の先住民族の人々が自らの言語や文化を学ぶためのプログラムを提供すること、教育や研究の分野での先住民族の言語を尊重することなどがあります。
また、法律や政策によって先住民族の言語を公式に認め、保護することも重要です。
近年、南米の多くの国々が先住民族の言語と文化を保護するために積極的に取り組んでおり、先住民族の言語を公用語として認める法律を制定するなど、重要な進展が見られています。