日本の経済界には多くの企業グループが存在しますが、その中でも特に有名なのが「三井グループ」と「住友グループ」です。
この2つのグループは江戸時代から続く歴史と伝統を持ち、現代でも様々な分野で活躍しています。
しかし、三井グループと住友グループの各企業には、内部的に序列というものがあります。
これは、企業の規模や業績、歴史や伝統などによって決まるもので、経営や人事に影響を与えるものです。では、
- 三井グループと住友グループの各企業の序列は、どのように決まっているのでしょうか?
- 三井グループと住友グループの序列を比較すると、どのような違いがあるのでしょうか?
について明らかにするために、本記事では以下の3点について詳しく解説していきます。
- 三井グループと住友グループの歴史と特徴
- 序列とその変遷
- 序列の比較
三井と住友の歴史と特徴
三井と住友は、日本を代表する財閥系企業グループであり、それぞれに長い歴史と独自の特徴を持っています。
三井は、江戸時代に三井高利が創業した呉服商から発展しました。
明治維新後には、三井銀行、三井物産、三井生命などの金融・商社・保険などの事業を展開しました。
三井は経営の中心となる持株会社を持たず、各社が独立採算制をとることで、柔軟な経営を行っており、三井の企業風土は合理的で革新的なものとされています。
一方、住友は、戦国時代に住友政友が創業した銅問屋から発展しました。
江戸時代には住友家が別子銅山を経営し、銅の生産と貿易で巨富を築きました。
明治維新後には、住友銀行、住友生命、住友金属工業などの金融・保険・重工業などの事業を展開。
住友は経営の中心となる住友本店を持ち、各社が一体となって経営を行ってきました。
住友の企業風土は、堅実で保守的なものとされています。
三井と住友の序列とその変遷
三井と住友の各企業には、会社間の序列が存在します。
序列は
- 企業の規模や業績
- 歴史や伝統
などによって決まります。
序列は経営の優先順位や人事の流れなどに影響を与えます。
しかし、序列は時代や環境の変化によって変動するものでもあります。
三井の序列は上位から
- 「御三家」
- 「月曜幹事企業」
- 「広報委員会加盟企業」
となっています。
「御三家」とは、三井物産、三井不動産、三井住友フィナンシャルグループの3社のことで、三井グループの中核を担っています。
しかし、近年では三井物産と三井不動産の業績が低迷し、三井住友フィナンシャルグループが序列のトップに立っています。
また、東レや三井化学などの化学系企業や、三井住友海上火災保険や王子ホールディングスなどの保険・紙系企業が序列を上げてきています。
住友の序列は明確なランキングはありませんが、大きく分けて
- 「鉱工業」
- 「それ以外」
とに分かれています。
「鉱工業」とは、住友金属鉱山、住友重機械工業、住友林業、住友化学の4社のことで、住友グループの生業の源流とされています。
しかし、近年では住友商事や住友電気工業、日本電気(NEC)などの「新御三家」と呼ばれる商社・電機系企業が序列を上げてきています。
また、住友不動産や三井住友銀行などの不動産・金融系企業も、序列を上げてきています。
三井と住友の序列を比較すると
三井と住友の序列を比較すると、以下のような傾向が見られます。
金融・保険系
金融・保険系では、三井住友フィナンシャルグループが住友生命保険や三井住友海上火災保険よりも上位にあります。
これは、三井住友銀行が三井住友フィナンシャルグループの中核となっており、住友グループの金融・保険系企業が三井住友銀行の傘下に入っているためです。
不動産系
不動産系では、三井不動産が住友不動産よりも上位にあります。
これは、三井不動産が東京の一等地に多くのビルを所有しており、住友不動産が地方に強いという特徴があるためです。
商社系
商社系では、三井物産と住友商事がほぼ同格となっています。
これは、両社ともに総合商社として多角的な事業を展開しており、業績や規模に大きな差がないためです。
電機系
電機系では、住友電気工業と日本電気(NEC)が三菱電機や東芝よりも上位にあります。
これは、住友電気工業と日本電気(NEC)が半導体や通信などの先端技術に強く、三菱電機や東芝が家電や原発などの低迷する分野に多くの資源を投入しているためです。
重工業系
重工業系では、三菱重工業が住友重機械工業や三井造船よりも上位にあります。
これは、三菱重工業が航空機や宇宙開発などの高付加価値の分野に強く、住友重機械工業や三井造船が造船や産業機械などの競争の激しい分野に多くの資源を投入しているためです。
化学系
化学系では、三井化学と住友化学がほぼ同格となっています。
これは、両社ともに基礎化学から機能性材料まで幅広い事業を展開しており、業績や規模に大きな差がないためです。
まとめ
三井グループと住友グループは、日本の経済界において重要な役割を果たしている財閥系企業グループです。
それぞれに歴史と特徴を持ち多様な事業を展開しています。
しかし、両グループの各企業には内部的に序列というものがあります。
これは、企業の規模や業績、歴史や伝統などによって決まるもので、経営や人事に影響を与えるものです。
序列は、時代や環境の変化によって変動するものでもあります。
三井グループと住友グループの序列を比較すると、金融・保険系や不動産系では三井グループが上位にあり、電機系や重工業系では住友グループが上位にあります。
商社系や化学系では、両グループがほぼ同格となっています。
これらの序列は両グループの歴史と特徴、事業の強みと弱み、市場の動向などによって決まっています。
三井グループと住友グループの序列は、日本の経済界における両グループの地位や影響力を示すものですが今後も変化する可能性があります。