アメリカという国名は、どのようにして生まれたのでしょうか?
また、日本語と中国語ではなぜ漢字で異なる表記をするのでしょうか?
この記事では「アメリカの国名の歴史的な背景」と、「日本語と中国語での漢字表記の違い」について詳しく調べてみました。
アメリカという国名の由来
アメリカという国名は、イタリアの探検家アメリゴ・ヴェスプッチの名前に由来します。
ヴェスプッチは、1499年と1501年に南アメリカの東岸を探検し、それが新大陸であることを確信しました。
1507年に、ドイツの地図製作者マルティン・ヴァルトゼーミュラーがヴェスプッチの功績を称えて、南アメリカの地図に「アメリカ」という名前を付けました。
その後、この名前は北アメリカにも広まり、現在のアメリカ合衆国の国名となりました 。
ヴェスプッチの名前は、ラテン語で「アメリクス」という形になりました。
この名前はギリシャ語の「アメリコス」という言葉に由来し、意味は
- 「勇敢な」
- 「勤勉な」
といったものです。
ヴァルトゼーミュラーはラテン語の女性形の接尾辞「-a」をつけて、「アメリカ」という名前を作りました。
これは、ラテン語では大陸名は女性形であるという慣習に従ったものです。
しかし、この名前は当初は南アメリカだけを指していました。
北アメリカは、別の探検家の名前にちなんで「ヴェスプッチア」と呼ばれていました。
しかし、1538年に、フランスの地図製作者ジェラール・メルカトルが、北アメリカと南アメリカを一つの大陸として扱い、「アメリカ」という名前を両方に適用しました。
この地図はヨーロッパで広く普及し、アメリカという名前が定着しました。
その後、1776年にアメリカ合衆国がイギリスからの独立を宣言し、アメリカという国名を正式に採用しました。
このようにして、アメリカという国名はヴェスプッチの名前から始まり、地図製作者や歴史の流れによって変化してきたのです。
アメリカはなぜ「亜米利加」なのか?
日本語では、アメリカを漢字で「亜米利加」と表記しますが、これは音訳による当て字です。
江戸時代にはアメリカを「亜墨利加」と書いていましたが、中浜万次郎(ジョン万次郎)が使っていた「メリケン(米利堅)」という言葉が広まり、アメリカの漢字表記も「亜墨利加」から「亜米利加」に変わりました。
また、「亜米利加」から「米」の字を取って、「米国」と略すようになりました。
これは、「亜」の字がアジアと重複することや、「メ」の音にアクセントがあることなどの理由があると考えられています 。
中国語でアメリカを「美国」と書く理由
中国語では、アメリカを漢字で「美国」と表記しますが、これも音訳による当て字です。
もともとは、「亜米利加」や「米利堅」という表記もありましたが、1860年ごろから「美」の字が使用されるようになりました。
これは、翻訳語の作られる中心地が広東から上海に移ったためで、上海語や北方の方言では「美」の字の発音がアメリカの「メ」の音に近かったからです。
また、「美」の字には「美しい」「美好」という意味もあり、アメリカを称賛するニュアンスも含まれていたと言われています 。
日本語と中国語は漢字を共有する言語ですが、それぞれに独自の発展を遂げてきたことが漢字表記の違いにも現れています。
日本語ではアメリカの漢字表記は江戸時代から現代までに変化してきましたが、中国語では19世紀に一度変化した後はほとんど変わっていません。
また、日本語ではアメリカの漢字表記は音訳だけでなく意訳も含まれています。
例えば、「米国」は、「アメリカ合衆国」という意味を表していますが、「美国」は、「アメリカ」という意味しか表していません。
このように、日本語と中国語での漢字表記はアメリカという国名に対する認識や評価にも影響していると言えるでしょう。
まとめ
この記事ではアメリカの国名の由来と日本語と中国語での漢字表記の違いについて調べてみました。
アメリカという国名は、歴史的な経緯や言語的な特徴によって様々な表現が生まれたことが分かりました。
日本語と中国語は漢字を共有する言語ですが、それぞれに独自の発展を遂げてきたことが漢字表記の違いにも現れています。
アメリカという国名は日本語と中国語の間に音や意味の違いだけでなく、文化や歴史の違いも反映していると言えるでしょう。